鳩森八幡神社は渋谷区千駄ヶ谷にある神社で、千駄ヶ谷一帯の総鎮守の崇敬を受けていた神社です。応神天皇と神功皇后を主祭神とした由緒のある神社です。その昔、この地の林の中には良いことが起こる前兆として、瑞雲がしばしば現れていたと江戸名所図会に記されています。ある青空の日に突如白雲が降りてきたのを見た村人が、この林の中に入っていくと、無数の白鳩が西の空へ飛び去ったとされています。このことから、神様が宿る小さな祠として鳩森(はとのもり)と名付けられました。この鳩森のご神体を求める村民の強い願いにより、応神天皇と神功皇后の御尊像を作り添えて、正八幡宮として奉ったと言われています。
境内社としては御社殿をはじめ、甲賀稲荷社・冨士浅間神社・神明社があります。御社殿は1845年に欅造りの荘厳な社殿として造られましたが、1945年の戦災により消失してしまいました。戦後になって何度も復興事業が行われ、当時の姿に復元されたのです。宇迦之御魂神を主祭神とした甲賀稲荷社も戦災の被害を受け、本殿の中で祀られていましたが、復興を望む声の高まりにより、1970年に欅造りの社殿が完成しました。
境内には千駄ヶ谷の富士塚があり、東京都の有形民俗文化財に指定されています。この富士塚の歴史は古く、1789年まで遡ります。江戸時代には江戸八富士の一つにも数えられていました。山裾には冨士浅間神社、七合目の洞窟には身禄像、山頂には奥宮が安置されるなど富士山が忠実に再現されています。1923年に起きた関東大震災により被害を受けたもののその後に修復され、移築などは行われませんでした。都内で移築していない現存する富士塚の中では最古のものとなっています。
このように由緒のある神社ですが、女子力アップのパワースポットとして注目を集めています。ここのおみくじは鳩のかたちをしていて、鳩みくじと呼ばれ親しまれ人気です。このおみくじが結ばれた光景は、とても可愛らしいと言われています。おみくじだけでなく、絵馬やお守りなども鳩のかたちをしています。鳩と関係の深いこの神社ならではと言えます。
御朱印は鳩森八幡神社と富士浅間神社で戴くことができます。鳩森八幡神社の御朱印にも可愛らしい鳩の印が押されます。また、オリジナルの御朱印帳の表紙にも鳩があしらわれています。 この神社では、四季の移り変わりを感じることができます。春には立派な枝垂桜や八重桜などが咲き乱れ、その後もツツジ・紫陽花・菖蒲と続きます。紅葉も素晴らしく、いつ訪れても違う表情を楽しめます。